写真販売サイトの大手Shutterstock(シャッターストック)は、世界中のクリエイターが利用する人気のストックフォトサービスです。しかし、最近では「写真が売れない」「報酬が低すぎる」といった声も多く聞かれます。実際のところ、シャッターストックで稼ぐことは可能なのでしょうか?
本記事では、実際にシャッターストックを利用している写真家たちの経験をもとに、売れる写真の撮り方から報酬システムの実態まで、詳しく解説していきます。これからストックフォトを始めようと考えている方、すでに始めているけれど思うように売れない方の参考になれば幸いです。

Q1: シャッターストックで写真が全然売れないのはなぜ?報酬が低すぎる理由とは
シャッターストックで写真が売れない最大の理由は、2020年6月に実施された報酬改定にあります。この改定により、写真1枚あたりの報酬が大幅に引き下げられ、多くの場合1枚$0.10という極めて低い金額になってしまいました。
報酬が低すぎる理由として、以下の要因が挙げられます:
1. 定額制プランの普及
- 購入者向けの格安定額プランが主流となり、写真1枚あたりの単価が大幅に下落
- 最も安いプランでは、写真1枚あたり$0.22で購入可能
- これにより、寄稿者への報酬も連動して低下
2. 報酬率の仕組み
- レベル1(年間100枚以下):15%
- レベル6(年間25,000枚以上):40%
- 最高レベルでも、多くの場合1枚$0.10の報酬
3. リセラーやAPI経由の販売
- クローンサイトやリセラー経由の販売では、さらに低い価格設定
- 動画でも$0.26や$0.58といった異常に低い報酬が発生
- 販売価格の下限が設定されていないため、極端な安売りが横行
この状況により、多くの寄稿者が「10枚売れて$1、100枚売れて$10」という現実に直面し、労力に見合わない報酬体系に不満を抱いています。
Q2: シャッターストックで本当に稼げる?初心者が月1万円売り上げるまでの道のり
シャッターストックで月1万円を稼ぐことは可能ですが、相当な努力と忍耐が必要です。実際に成功した寄稿者の事例から、そのプロセスを見ていきましょう。
初期の売上推移(実例):
- 1ヶ月目:初売上達成(写真1枚)
- 2-4ヶ月目:月1-3枚程度の売上
- 5ヶ月目以降:徐々に売上が増加
- 12ヶ月目:月額$65.68(約7,224円)達成
月1万円達成までのステップ:
- 品質の高い写真を継続的にアップロード
- 最低でも200枚以上の登録が必要
- 審査基準をクリアする技術力が必須
- 市場ニーズの理解
- 季節やイベントに関連する写真
- ビジネスシーンで需要の高いテーマ
- 適切な撮影環境の整備
- 撮影ボックス(75×75cm推奨)
- 十分な照明設備
- ISO500以下、シャッタースピード1/250前後での撮影
- マインドセットの維持
- 最初の数ヶ月は売上がほとんどない
- 継続することで徐々に売上が増加
- 長期的な視点での取り組みが重要
月1万円を超えるようになると、安定した副収入源として機能し始めます。ただし、現在の報酬体系では、かなりの枚数を売る必要があることを理解しておく必要があります。
Q3: シャッターストックで売れる写真の特徴は?審査に通るための5つのポイント
シャッターストックで売れる写真を撮影し、審査を通過するためには、以下の5つのポイントが重要です:
1. 技術的な品質
- ピントが正確に合っている
- 適切な露出とホワイトバランス
- ノイズが少ない(低ISO撮影)
- 手ブレがない
2. 法的な問題のクリア
- モデルリリース:人物が写っている場合は必ず許可を取得
- プロパティリリース:建物やアート作品の撮影許可
- 商標・ブランドロゴ:企業ロゴや商品名が写り込まないよう注意
- 著作権:他人の作品が写り込まないよう配慮
3. 市場性のあるテーマ
- ビジネスシーン
- テクノロジー関連
- ライフスタイル
- 季節のイベント
- 食べ物・料理
4. メタデータの最適化
- 正確で具体的なタイトル
- 関連性の高いキーワード(最大50個)
- 適切なカテゴリー選択
- 個人名や固有名詞は使用しない
5. 審査に通りやすい被写体
- 食べ物や料理:プロパティ問題が少ない
- 自然風景:山、海、空など
- 抽象的な背景:テクスチャー、パターン
- 小物・静物:オフィス用品、日用品
特に初心者は、観光地や有名建築物よりも、シンプルな被写体から始めることをお勧めします。これらは審査に通りやすく、需要も安定しています。
Q4: シャッターストックvs他社比較|どのストックフォトサービスが一番売れる?
実際に複数のストックフォトサービスで同じ写真を販売した結果から、各サービスの特徴と収益性を比較してみましょう。
1. Shutterstock(シャッターストック)
- 登録数:186枚
- 売上数:95枚(51%)
- 平均単価:$0.42(約48円)
- 特徴:売れる枚数は多いが、単価が極めて低い
2. iStock(アイストック)
- 登録数:39枚
- 売上数:370枚
- 平均単価:$0.20(約23円)
- 特徴:1枚の写真が大ヒットする可能性あり
3. Adobe Stock(アドビストック)
- 登録数:59枚
- 売上数:17枚(28%)
- 平均単価:約117円
- 特徴:単価が高く、効率的に稼げる
4. PIXTA(ピクスタ)
- 登録数:30枚
- 売上数:17枚(56%)
- 平均単価:70円
- 特徴:日本市場に特化、売れ行きは良好
5. imagenavi(イメージナビ)
- 登録数:97枚
- 売上数:2枚
- 平均単価:110円
- 特徴:審査は緩いが、売れにくい
結論:
- 販売数重視:Shutterstock
- 単価重視:Adobe Stock、PIXTA
- バランス型:iStock(ヒット作品が出れば大きい)
現状では、ShutterstockよりもAdobe StockやPIXTAの方が、効率的に収益を上げられる可能性が高いです。
Q5: シャッターストックを辞めるべき?報酬改定で寄稿者が大量撤退する理由
2020年6月の報酬改定以降、多くの寄稿者がシャッターストックから撤退しています。その理由と、継続するべきかの判断基準を解説します。
撤退する理由:
- 極端に低い報酬
- 写真1枚$0.10という報酬は労力に見合わない
- 最低支払額$35に達するまで350枚の販売が必要
- 他社と比較して明らかに不利な条件
- 不透明な販売システム
- APIやリセラー経由の販売で更に低い報酬
- どこで販売されたか明確な回答が得られない
- 寄稿者への配慮が欠如
- 安売りによる市場価値の低下
- 同じ写真を他社でも販売している場合、シャッターストックの安売りが悪影響
- 他社での販売機会を損なう可能性
継続するべきケース:
- シャッターストック専属で活動
- 大量の登録済み写真がある
- 海外市場へのアクセスを重視
撤退を検討すべきケース:
- 複数のストックフォトサイトを利用
- 労力対効果を重視
- 写真の市場価値を守りたい
代替案:
- Adobe StockやPIXTAへの移行
- 独自の販売プラットフォーム構築
- 直接クライアントとの取引
多くの寄稿者にとって、現在のシャッターストックの報酬体系は魅力的とは言えません。特に副業として取り組む場合、より効率的に収益を上げられる他のプラットフォームを検討することをお勧めします。
ストックフォト業界全体として、寄稿者の権利と適正な報酬を守ることが、持続可能なビジネスモデルの構築に不可欠です。
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