NFT投資は危険な理由が多数存在し、多くの専門家が「やめとけ」と警告を発しているのには明確な根拠があります。2025年現在においても、これらのリスクは解決されることなく継続しており、むしろ新たな問題まで発生している状況です。暗号資産市場全体の低迷、NFTマーケットプレイスの相次ぐ閉鎖、そして95%のNFTが価値を失ったという衝撃的なデータなど、投資商品としてのNFTが抱える構造的な問題は深刻です。バブル崩壊により多くの投資家が甚大な損失を被った現実、技術的な脆弱性による予期しないリスク、法的地位の不安定性、そして環境負荷問題など、NFT投資を避けるべき理由は枚挙にいとまがありません。本記事では、これらの問題について具体的な事例とともに詳しく解説し、なぜNFT投資が危険なのかを明確にしていきます。

価格変動の極端なリスクが投資家を破綻に追い込む
NFT市場における最も深刻な問題の一つが価格変動の激しさです。従来の金融商品では考えられないほどの急激な価格下落が日常的に発生しており、投資家にとって予測不可能なリスクとなっています。多くのNFTプロジェクトで、わずか数日から数週間の間に価格が90%以上下落する事例が頻繁に報告されています。
この異常な価格変動には構造的な要因が存在します。NFTの価値は株式や債券のような客観的な指標に基づいていないため、市場参加者の感情や投機的な需要に大きく左右されます。企業の業績や財務状況といった具体的な裏付けが存在しないNFTは、一時的なブームが終わると急激に価値を失う傾向があります。
2021年から2022年にかけて高額で取引されていた多くのNFTが、現在では購入価格の10分の1以下の価値しか持たない状況が続いています。これは投資商品としては極めて異常な現象であり、長期的な資産形成を目指す投資家にとって致命的なリスクとなっています。
投機的な需要が価格形成の主要因となっているため、実際の利用価値や芸術的価値とは完全に乖離した価格設定が行われることが一般的です。この結果、投資目的でNFTを購入した人々の大多数が壊滅的な損失を被っているのが現実です。
詐欺・盗難被害の多発が投資環境を悪化させている
NFT分野では詐欺や盗難被害が深刻化しており、投資家にとって極めて危険な環境となっています。デジタル資産という特性を悪用した新しい形態の犯罪が次々と発生し、被害額も年々増加している状況です。
最も頻繁に発生している詐欺手口が、偽のアーティストになりすまし詐欺です。有名なアーティストの作品を無断で使用し、本人が公式に販売しているかのように装って高額で販売する事例が後を絶ちません。購入者は正規品だと信じて高額を支払いますが、実際には何の価値もない偽物を購入することになります。
偽のマーケットプレイス詐欺も急増しています。本物のNFTマーケットプレイスと見分けがつかないほど精巧に作られた詐欺サイトが多数存在し、ユーザーがウォレットを接続した瞬間に保有している暗号資産やNFTが全て盗まれてしまいます。
パンプアンドダンプスキームでは、詐欺グループが特定のNFTプロジェクトを大量購入して人工的に価格を吊り上げ、一般投資家が高値で購入したタイミングで一斉に売り抜ける手法が横行しています。この手法により、一般投資家は高値掴みをして大きな損失を被ることになります。
SNS上で無料NFTの配布を宣伝するギブアウェイ詐欺も増加傾向にあります。参加条件としてウォレットの認証情報や秘密鍵の入力を求め、この情報を悪用してウォレット内の全資産を盗み取る手口です。
価値の根拠が曖昧で投資判断ができない
NFTが投資対象として適さない根本的な理由の一つが価値の根拠の不明確さです。従来の投資商品とは異なり、NFTの価値を客観的に評価する明確な基準が存在しないため、適切な投資判断を行うことが極めて困難です。
株式投資では企業の業績、将来の成長性、配当利回りなどの具体的な指標に基づいて価値を評価できます。不動産投資でも立地条件、建物の状態、周辺環境、賃料収入などの客観的要素が価格に反映されます。しかし、NFTの場合はこれらのような客観的な価値指標が存在せず、主に市場参加者の主観的な評価や一時的な感情に依存しています。
特にデジタルアートのNFTでは、作品自体の芸術的価値とNFTとしての価値が必ずしも一致しないという根本的な問題があります。同じデジタルアート作品でも、NFT化されているかどうかで価値が大きく変わるという現象は、多くの芸術家や評論家から疑問視されています。
NFTの所有権についても重大な誤解が存在します。NFTを購入しても実際には作品の著作権や商用利用権を取得できるわけではなく、多くの場合はブロックチェーン上での所有記録を購入しているだけです。この点を十分に理解せずに購入する人が多く、後になって期待していた権利を得られないことが判明してトラブルになる事例が頻発しています。
流動性リスクが資金回収を困難にしている
NFT投資における深刻な問題の一つが流動性の極端な低さです。株式や暗号資産とは異なり、NFTは個別性が強く、売却したいタイミングで買い手を見つけることが非常に困難な場合が多々あります。
知名度の低いアーティストの作品や、ブームが去ったプロジェクトのNFTについては、売却したくても買い手が現れないという状況が頻繁に発生します。価格が下落している状況でも損切りすることができず、塩漬け状態になってしまうケースが数多く報告されています。
マーケットプレイスでの取引量も極めて限定的であり、特に高額なNFTについては数か月から数年間も売れない状況が続くことがあります。これは投資商品としては致命的な欠陥であり、急に資金が必要になった場合でも保有しているNFTを現金化することができない可能性があります。
マーケットプレイスごとに手数料体系が異なり、売却時に高額な手数料を請求される場合があります。購入価格と同じ価格で売却できたとしても、手数料を差し引くと実質的に損失となってしまうケースも少なくありません。
さらに深刻な問題として、マーケットプレイス自体の閉鎖リスクがあります。取引場所が失われることで、既に価値が下落しているNFTの流動性がさらに低下し、事実上売却不可能な状況に陥る可能性があります。
マネーロンダリングの温床となるリスク
NFT市場が抱える深刻な社会的問題の一つがマネーロンダリングの温床となっている可能性です。NFTの取引は比較的匿名性が高く、価格の妥当性を判断することが困難であるため、不正な資金の洗浄に利用されるリスクが指摘されています。
購入したNFTが実際には犯罪収益の洗浄に使用されていた作品である可能性があり、知らず知らずのうちに犯罪行為に関与してしまうリスクが存在します。このようなケースでは、後に法執行機関から調査を受ける可能性があり、購入者自身が不利益を被る場合があります。
価格操作を目的とした自作自演の取引も深刻な問題となっています。同一人物が複数のアカウントを使用して自分の作品を高額で取引することで、人工的に価格を吊り上げる手法が横行しています。これにより実際の市場価格とは乖離した価格設定が行われ、一般購入者が適正価格を判断することが困難になっています。
このような不正取引の存在は、NFT市場全体の信頼性を著しく損なっている要因となっており、健全な投資環境の形成を阻害しています。
2025年における最新状況と継続する深刻な問題
2025年に入っても、NFT分野における問題は解決されることなく、むしろ新たな形態の問題が発生しています。暗号資産取引所のセキュリティインシデントが続発しており、これらの事件はNFT取引にも直接的な影響を与えています。
特に注目すべきは、北朝鮮のハッカー集団「ラザルス」による大規模なサイバー攻撃事件で、401,346 ETH(約14億ドル相当)が流出する事件が発生しました。このような事件は、NFT取引に使用される暗号資産インフラ全体の安全性に対する不安を高めています。
技術的な問題も依然として解決されていません。多くのNFTプロジェクトで使用されているスマートコントラクトにバグや脆弱性が発見され続けており、これらの問題により投資家が損失を被るケースが継続して報告されています。
環境問題についても議論が継続しています。NFTの作成や取引に使用されるブロックチェーンネットワークの消費電力の大きさが環境負荷の原因となっており、持続可能性の観点から批判の声が上がっています。
投資家からの厳しい評価と警告
専門的な投資家からのNFTに対する評価は極めて厳しいものとなっています。複数の投資会社による調査では、NFTを投資対象として推奨しないという結論が出されています。
投資家が指摘する主な問題点として、市場の未成熟さ、価格形成メカニズムの不透明さ、規制環境の不安定さなどが挙げられています。特に機関投資家レベルでは、NFTを正式な投資商品として扱うことに対して慎重な姿勢を示しており、個人投資家に対しても注意を促している状況です。
リスク管理の観点から見ても、NFT投資は従来の投資理論では説明できない特異な値動きを示すため、ポートフォリオ理論に基づいた適切なリスク分散が困難であるという指摘もあります。
法的・規制面での不安定性が投資リスクを増大
NFTを取り巻く法的環境は極めて不安定な状況が続いています。各国の規制当局がNFTをどのように位置づけるかについて明確な方針が示されておらず、将来的に厳しい規制が導入される可能性があります。
税務処理についても複雑な問題が存在します。NFTの売買により利益が発生した場合の税務処理方法が明確でない部分があり、後になって予想外の税務負担が発生する可能性があります。特に頻繁に取引を行っている場合は、適切な記録管理と税務申告が必要となりますが、多くの個人投資家がこの点を十分に理解していない状況です。
知的財産権に関する問題も深刻です。NFTとして販売されている作品が実際には他者の著作権を侵害している場合があり、購入者が後になって法的トラブルに巻き込まれるリスクがあります。
NFTバブル崩壊による具体的な被害状況
2024年から2025年にかけて、NFT市場は深刻なバブル崩壊を経験しました。この崩壊により多くの投資家が甚大な損失を被っており、その具体的な状況は投資商品としてのNFTの危険性を如実に示しています。
NFT取引量は最盛期と比較して8割も減少し、デジタルアート作品に億円単位の価格がつくような状況は完全に終焉を迎えました。市場全体の平均単価は2年間で約10分の1まで急落し、かつて高額で取引されていた作品の多くが二束三文の価値しか持たない状況となっています。
最も象徴的な事例として、世界初のツイートNFTの価格推移があります。この作品は2021年に約3億円で取引されましたが、2024年には約21万円まで暴落し、実に99.93%の価値下落を記録しました。これは投資商品としては破滅的な損失率であり、NFTの投機的性質を明確に示している事例です。
著名人の損失事例も数多く報告されています。米人気歌手ジャスティン・ビーバーは2022年1月に130万ドル(約1億5000万円)で購入した「Bored Ape」と呼ばれるサルの絵のNFTを保有していますが、現在の価値は購入価格の5%程度まで下落しており、マイナス95%という壊滅的な損失を被っています。
NFTマーケットプレイスの相次ぐ閉鎖
市場の縮小に伴い、NFTマーケットプレイスの閉鎖が相次いでいます。海外大手の取引所「X2Y2」は2025年4月30日にサービスを終了し、米暗号資産交換業大手クラーケンが運営するNFT市場も2025年2月に運営を終了しました。
日本国内でも同様の状況が発生しており、日本発のNFTマーケットプレイス「tofuNFT」が2025年5月末で歴史に幕を下ろしました。これらの閉鎖は、NFT市場の持続可能性に対する深刻な疑問を投げかけています。
マーケットプレイスの閉鎖は、NFT保有者にとってさらなるリスクとなります。取引場所が失われることで、既に価値が下落しているNFTの流動性がさらに低下し、事実上売却不可能な状況に陥る可能性があります。
バブル崩壊の構造的要因と今後の見通し
NFTバブル崩壊の要因は複数存在しますが、最も重要なのは需給バランスの崩壊です。ナスダックのレポートによると、NFTの供給が爆発的に増加した一方で、実際の需要は限定的であり、この不均衡が価格暴落の主要因となりました。
また、NFT市場と仮想通貨市場には強い相関関係があり、仮想通貨市場の低迷がNFT価格に直接的な影響を与えました。特に「インフレ」「ルナ(Terra)崩壊」「FTX破綻」という三つの要因が仮想通貨市場全体を低迷させ、これがNFTバブル崩壊を加速させました。
投機的な取引が市場の大部分を占めていたことも重要な要因です。多くの参加者が短期的な利益を求めて取引を行っており、実際の価値や実用性に基づいた取引は限定的でした。このため、市場心理が悪化すると連鎖的に価格が下落する構造となっていました。
95%のNFTが価値を失った現実
dappGambleが2023年9月に発表したデータによると、現在NFTの95%が価値を失った状態にあります。これは単なる価格下落ではなく、実質的に無価値になったことを意味しています。
この統計は、NFT投資の危険性を数値で示した重要なデータです。20のNFTを購入した場合、統計的には19の作品が価値を失い、1つの作品のみが何らかの価値を保持する可能性があるということになります。これは通常の投資商品では考えられないほど高い失敗率です。
特に問題となるのは、高額で取引されていた有名プロジェクトであっても例外ではないという点です。数百万ドルで取引されるなど大きな盛り上がりを見せたNFTプロジェクトの多くも、現在では価値を大きく失っています。
技術的問題と構造的欠陥による追加リスク
NFT技術には根本的な技術的問題が数多く存在しており、これらの問題がNFT投資のリスクをさらに高めています。特にスマートコントラクトの脆弱性と環境負荷の問題は深刻で、長期的な持続可能性に重大な疑問を投げかけています。
スマートコントラクトの脆弱性により、NFT投資家が予期しない損失を被るリスクが常に存在しています。リエントランシー攻撃、フロントランニング攻撃、オーバーフロー・アンダーフロー攻撃など、様々な手法による攻撃で数億円規模の被害が発生した事例が複数報告されています。
プラットフォーム依存による永続性の問題も深刻です。多くのNFTプロジェクトでは、実際のデジタルコンテンツは分散型のブロックチェーン上ではなく、特定のサーバーやクラウドサービス上に保存されています。プラットフォーム運営会社が倒産したり、サービスを終了したりした場合、NFTに関連付けられたデジタルコンテンツが完全に失われてしまう可能性があります。
深刻な環境負荷問題とESG投資からの除外
NFTの作成と取引には膨大な電力消費が伴い、これが深刻な環境問題を引き起こしています。ケンブリッジ大学の調査によると、ビットコインネットワークだけで年間140TWhの電力を消費しており、これはスウェーデンやマレーシア一国の年間電力消費量に匹敵します。
単一のNFT取引でも、一般家庭の数日分から数週間分の電力消費に相当する場合があります。この環境負荷は、持続可能性を重視する現代社会の価値観と根本的に相反しています。
この環境問題により、多くの企業や機関投資家がNFTへの投資を見送る決定を下しています。ESG投資(環境・社会・ガバナンス投資)の観点から、環境負荷の大きいNFTは投資対象として適さないという判断が広がっています。
安全に関わるための最低限の注意点
それでもNFTに関わりたいと考える場合は、極めて慎重なアプローチが必要です。まず絶対に生活費や必要資金には手を付けず、完全に失っても生活に支障がない余剰資金のみを使用することが重要です。NFT投資は非常にリスクが高いため、投資金額の全額を失う可能性があることを前提として考える必要があります。
購入する場合は少額から始めることを強く推奨します。市場の動向や取引の仕組みを理解するまでは、大きな金額を投じることは避けるべきです。
信頼性の高いマーケットプレイスを利用することも重要です。OpenSeaやRarible等の大手プラットフォームを使用し、無名なマーケットプレイスは避けることが安全です。
作品の真正性についても慎重に確認する必要があります。公式アカウントからの発表や、アーティスト本人による認証があるかどうかを必ず確認してください。
ウォレットのセキュリティについても十分な対策が必要です。秘密鍵やシードフレーズの管理を徹底し、怪しいサイトには絶対にウォレットを接続しないよう注意してください。
被害を避けるための重要な教訓
これらの事例から学ぶべき教訓は明確です。NFTへの投資は極めて高いリスクを伴い、投資金額の全額を失う可能性が非常に高いということです。高額な初期投資は絶対に避けるべきであり、著名人の事例で見られるように、数千万円から数億円規模の投資は壊滅的な損失につながる可能性があります。
ブームに乗った衝動的な購入は極めて危険です。市場が盛り上がっている時期こそ、冷静な判断が求められます。多くの失敗事例は、市場の最盛期に高値で購入したケースです。
長期保有を前提とした投資戦略は、NFT市場では適用できません。従来の投資理論である「長期保有による価値の安定化」は、NFT市場では機能していないことが実証されています。
流動性リスクを軽視してはいけません。マーケットプレイスの閉鎖により、保有しているNFTを売却する場所そのものが失われる可能性があります。
結論:NFT投資からの撤退を強く推奨
以上の理由から、多くの専門家がNFTに対して「やめとけ」という警告を発しているのは極めて妥当な判断と言えます。特に投資目的でのNFT購入は、極めて高いリスクを伴う行為であり、十分な知識と経験があったとしても避けることを強く推奨します。
NFTという技術自体には将来的な可能性があるかもしれませんが、現在の市場状況では一般的な投資家にとって適切な投資対象とは決して言えません。新しい技術に対する興味は理解できますが、それが投資判断の根拠となるべきではありません。
もしどうしてもNFTに関わりたい場合は、娯楽や趣味の範囲内で、失っても問題ない少額での参加に留めることが賢明です。投資としてではなく、新しい技術体験の一環として捉える程度の関与に止めることを強く推奨します。
最終的に、NFTバブル崩壊の事例は、新しい技術や市場に対する過度の期待と投機的行動がいかに危険であるかを示しています。技術の将来性と投資対象としての適格性は全く別の問題であり、この区別を明確にすることが重要です。2025年現在、NFT市場は投機段階から実用性重視の段階に移行していますが、投資商品としてのNFTの魅力は大幅に低下しており、今後も投機的な取引による大きな利益を期待することは現実的ではありません。
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