2025年10月、写真ACを利用する多くのクリエイターに衝撃が走りました。AI生成素材の新規投稿が一時停止されるという発表があったのです。写真ACは、国内で最も人気のある無料素材サイトのひとつであり、多くのクリエイターがAI生成画像を投稿することで収益を得ていました。この突然の発表は、単なる一時的な措置ではなく、プラットフォームの戦略的な方向転換を示唆するものでした。本記事では、写真ACのAI生成利用規約における2025年の最新変更点について、その背景から今後の展望まで詳しく解説します。クリエイターの皆様が今後どのような対応を取るべきか、また写真ACが目指す新しいエコシステムとは何かを理解することで、変化する市場環境に適応するための指針を提供します。

2025年10月の重大発表:AI投稿一時停止の衝撃
2025年10月初旬、ACワークス株式会社は写真ACおよびイラストACにおいて、AI生成素材の新規投稿受付を一時停止するという重大な決定を発表しました。この措置は2025年10月10日から開始され、おそらく2026年1月頃まで継続されるとのことです。この発表は、AI生成素材を主な収益源としていた多くのクリエイターにとって、まさに青天の霹靂でした。
公式に発表された停止の理由は、審査の複雑化に伴うルール整備とAI素材以外の審査の遅延解消の2点でした。運営側の説明によれば、AI生成素材の急増により審査体制が逼迫し、AI以外の通常の写真やイラストの審査にも影響が出ていたため、一度立ち止まってルールを整備する必要があったとのことです。この説明は一見すると合理的に思えますが、実はその裏には写真ACの長期的な戦略転換が隠されていました。
この発表を受けて、多くのクリエイターが混乱に陥りました。2026年5月までに2000枚の投稿を目標にしていたクリエイターは、その計画の大幅な見直しを余儀なくされました。また、10月10日の停止期限までに、作成途中のAI画像を急いで投稿しようとする駆け込み需要も発生しました。一部のクリエイターは、写真ACに投稿していた時間を他のストックフォトサイトへの投稿や、手描きイラストの制作に振り向けるという戦略転換を迫られることになりました。
AI生成素材をめぐる審査の複雑化とは
写真ACが公式に提示した停止理由のひとつである審査の複雑化とは、具体的に何を意味するのでしょうか。これは、MidjourneyやStable Diffusionといった外部のAI画像生成ツールで作られた素材に内在する法的リスクの審査が、運営の許容範囲を超えて増大したことを指しています。
AI生成画像には、第三者の権利を侵害する可能性が常に付きまといます。著作権、肖像権、商標権といった権利が、生成されたAI画像に意図せず含まれてしまうケースが多発していたのです。例えば、AIが学習したデータの中に特定のアーティストの作品が含まれていた場合、その作風に似た画像が生成されてしまう可能性があります。また、実在する人物の顔や、有名なキャラクターに似た画像が生成されることもあります。
この問題は写真ACだけの問題ではありません。AI生成素材を受け入れているすべてのストックフォトサイトが直面している共通の課題です。競合他社の対応を見ることで、写真ACが直面していた審査の複雑さがより明確になります。
国内の主要な競合サイトであるPIXTAは、写真ACに先んじて2025年7月2日にAIツール利用時の注意点をまとめたページを公開しました。PIXTAが強調したのは、AI生成における法的リスクの回避です。具体的には、第三者が権利を持つ画像を参考にして類似する画像を作成し販売した場合、著作権侵害行為に該当する可能性があると警告しています。また、既存のアニメや漫画のキャラクターをプロンプトに含めることや、特定の写真作品やイラストと同一または類似のものを生成する目的でAIを使用することを明確に禁止しました。実在の人物の肖像をプロンプトに含めて肖像権を侵害する画像を生成することも厳しく禁じられています。
グローバル市場で最大級のストックフォトサイトであるAdobe Stockも、深刻な課題に直面していました。2025年10月時点で、Adobe Stockのデータベースには8億3900万点もの素材が登録されており、そのうち約4億点、つまり全体の約半分がAI生成素材となっていました。この膨大なAI素材の流入により、素材を購入するバイヤーから深刻な苦情が寄せられるようになりました。品質の低い画像や、ほとんど同一の画像を延々と選別しなければならない作業に対して、ユーザー体験の著しい低下が指摘されたのです。その結果、Adobeは投稿制限を導入し、クリエイターに量より質を求める方針転換を行いました。
これらの事例から明らかなように、写真ACが直面した審査の複雑化と遅延は、PIXTAが恐れる法的リスクとAdobe Stockが経験した品質低下という二重の問題と全く同質のものでした。外部のAIツールからの投稿を受け入れるオープンな投稿モデルそのものが、構造的な欠陥を抱えていることが浮き彫りになったのです。
写真ACの独自の利用規約:著作権譲渡の意味
写真ACが他のストックフォトサイトとは異なるドラスティックな戦略転換を行えた背景には、同社の利用規約における非常にユニークな条項が存在します。それが著作権譲渡です。
写真ACおよびイラストACのクリエイター利用規約では、クリエイターが素材を投稿した時点で、その素材の著作権をACワークス株式会社に譲渡しなければならないと定められています。これは、Adobe StockやPIXTAなど他の多くのストックフォトサイトとは根本的に異なる仕組みです。通常、他のサイトではクリエイターが著作権を保持したまま、プラットフォームに対して素材の使用権をライセンスする形態を取っています。
ACワークスによる公式な説明では、この著作権譲渡規約の目的は、過去に多発したトラブルを未然に防ぐためとされています。具体的には、素材を正常にダウンロードして利用規約の範囲内で使用していた購入者に対して、素材を投稿したクリエイターが後から著作権を主張するというケースがありました。著作権を運営会社に譲渡することで、このようなトラブルを防ぎ、プラットフォームと購入者を法的に保護することができます。
一方で、クリエイターにとっては、一度写真ACに投稿した素材の権利は自分の手から離れるため、その同一素材をAdobe StockやPIXTAなど他のサイトで二重に販売することが契約違反となるというデメリットがあります。長年にわたり、この規約はクリエイターにとって一種の足枷と見なされてきました。
しかし、2025年のAI時代において、この著作権譲渡規約は、ACワークスにとって他社が持ち得ない最強の戦略的資産へと変貌しました。2024年から2025年にかけて、AIに関する世界的な最大の法的争点は学習データの権利です。EUのAI法や、米国でのアーティストによる集団訴訟に見られるように、多くのAIモデルがアーティストの許可なく作品を無断収集して学習させたことで、深刻な法的および倫理的非難に直面しています。
ShutterstockやAdobeは、この問題を回避するために、クリエイターから学習用として別途ライセンス許諾を得たデータを使用して、自社のAIを開発しています。しかし、ACワークスはライセンス許諾どころか、著作権そのものの譲渡をクリエイターに義務付けてきました。これは、ACワークスが保有する数百万点以上の素材データベース全体が、第三者の権利を一切侵害しない、権利が完全にクリーンであり、かつ自社が法的に所有権を持つ大規模なAI学習用データセットとして、合法的に構築済みであったことを意味します。
2025年春に始動した独自AI「AC写真AIラボ」
写真ACの2025年の動向を見ると、一見すると大きな矛盾が存在します。2025年10月にはAI素材の投稿停止を発表したにもかかわらず、そのわずか数ヶ月前の2025年3月には、独自の画像生成AI「AC写真AIラボ」をリリースしていたのです。AIを禁止しながらAIを推進するという、この矛盾した行動こそが、ACワークスの真の戦略を理解する鍵となります。
AC写真AIラボの最大の特徴は、その学習データのクリーンさです。ACワークスは、このAIについて、学習データには利用許可済みかつ自社が所有する素材のみを使用し、基盤モデルから自社で開発したと明言しています。これは先ほど説明した著作権譲渡規約によって合法的に保有する膨大なデータセットを指しています。ACワークスは、このAIを著作権侵害の心配が不要なクリーンなAIコンテンツであり、安心して利用できるクリーンな画像生成AIであると強くアピールしています。
ユーザーにとっての利便性も考慮されています。AC写真AIラボで生成された画像は、従来の写真ACの素材と同様に商用利用が可能です。また、AIのプロンプト入力が苦手なユーザーでも、対話形式でロボットの質問に答えていくだけで画像が生成できるアテンド機能を搭載しています。さらに、日本の素材を重点的に学習しているため、海外製のAIが苦手とする日本向けの素材写真や日本らしい画像が作成できる点も、強力な差別化要因として打ち出されています。
これらの事実を並べると、2025年の動きは矛盾ではなく、戦略的置換であることが明らかになります。ACワークスは、法的にも品質的にも管理不能となった外部のAI、つまりMidjourneyやStable Diffusionなどのオープンモデルを市場から締め出し、その結果として生じるAI素材の空白の市場を、自社が完全に管理し所有する内部のAIであるAC写真AIラボで独占するという戦略に明確に舵を切ったのです。
自社のAIを2025年3月にリリースした後、その直接的な競合となる外部AIの投稿を同年10月に一時停止の名目で禁止する、この一連の流れは、写真ACのプラットフォーム上でAI生成素材を供給できるのは事実上ACワークス自身だけ、という状況を作り出します。これは、プラットフォームの収益性、法的安全性、そしてAdobe Stockが直面した検索品質の低下という問題のすべてを一挙に解決する合理的な経営判断であると言えます。
クリエイターへの還元システムと新しいエコシステム
ACワークスは、外部AIを締め出す一方で、内部AIを推進するにあたり、元データのクリエイターへの還元策を導入しています。これが、同社が描く新しいエコシステムの姿です。
AC写真AIラボで生成された画像がユーザーにダウンロードされるごとに、その生成に影響を与えた学習データ素材を投稿したクリエイターに報酬としてポイントが付与される仕組みです。これは、従来のクリエイターにとって新たな収益源となる可能性を示唆しています。
この戦略は、2025年現在のストックフォト業界で起きているAI戦略の二極化を象徴しています。一つ目のモデルは、Adobe StockやPIXTAが採用するオープン市場型です。これらのプラットフォームは、依然として外部のクリエイターからのAI生成素材の投稿を受け入れています。彼らの戦略は、膨大なAI素材を受け入れつつ、プロンプト規制という厳格なルールによって法務リスクと品質リスクを管理しようとするものです。このモデルでは、クリエイターはAIプロンプターとして収益を得ます。
二つ目のモデルは、ShutterstockおよびAC写真が採用するウォールドガーデン型、つまり壁に囲まれた庭のような閉鎖的な環境です。Shutterstockは、写真ACと同様の戦略を取っており、外部クリエイターからのAI生成コンテンツの投稿を受け付けていません。その法的な理由は、AIコンテンツ生成モデルは多数のアーティストの知的財産を利用しているため、AI生成コンテンツの所有権を単一の個人に割り当てることはできないという法務リスクの回避を最優先するものです。その代わり、Shutterstockは自社AIツールを開発し、そのAIの学習データのライセンス料をコントリビューター基金を通じて、元の知的財産を持つクリエイターに分配しています。
2025年10月の投稿停止は、写真ACがオープン市場型からウォールドガーデン型へと明確に戦略転換したことを示す号砲です。写真ACは、Shutterstockと非常によく似たクリーンな自社AIプラス基金による還元というモデルを採用しました。さらに言えば、写真ACは独自の著作権譲渡規約のおかげで、Shutterstockのデータライセンスよりもさらに強力な法的基盤であるデータ所有の上で、このウォールドガーデンを構築できるという点で、より優位なポジションに立っています。
他社との利用規約比較から見える写真ACの独自性
写真ACの2025年の変更点をより深く理解するために、主要な競合他社との利用規約の違いを比較してみましょう。
Adobe Stockでは、クリエイターは著作権を保持したまま、Adobeに対して素材の非独占的なライセンスを付与します。つまり、同じ素材を他のストックフォトサイトでも販売することが可能です。AI生成素材についても投稿可能ですが、プロンプトやキーワードにアーティスト名、実在の人物、フィクションのキャラクターを含めることを厳しく禁止しています。また、投稿制限を設けることで量より質を重視する方針に転換しています。
PIXTAも同様に、クリエイターが著作権を保持する形態を取っています。2025年7月に公開されたAIツール利用時の注意点では、第三者の権利を侵害する可能性のあるAI生成素材の投稿を厳しく制限しています。既存のキャラクターや実在の人物の肖像を使用した画像の生成を明確に禁止し、法的リスクの回避を最優先しています。
Shutterstockは、写真ACに最も近いアプローチを取っています。外部クリエイターからのAI生成コンテンツの投稿を受け付けず、自社開発のAIツールのみを提供しています。学習データのライセンス料をクリエイターに還元する仕組みを導入しており、権利のクリーンさを重視する姿勢が明確です。
これらと比較すると、写真ACの著作権譲渡規約は非常に特異であることがわかります。他のサイトがライセンス契約や権利保持という形を取る中で、写真ACは著作権そのものを譲渡させることで、自社が完全にコントロール可能な素材データベースを構築してきました。この独自性が、2025年のドラスティックな戦略転換を可能にした最大の要因です。
一時停止は本当に一時的なのか:今後の展望
公式発表では、AI生成素材の投稿停止は2026年1月頃までの一時的な措置とされています。しかし、これは本当に元の状態に戻ることを意味するのでしょうか。
ACワークスが多大なコストとリソースを投じて基盤モデルから開発したAC写真AIラボと真っ向から競合する外部AIの投稿を、わずか3ヶ月の停止期間の後に再び無制限に許可する経営上の合理性はありません。仮に2026年1月以降に外部AIの投稿が再開されたとしても、それはAC写真AIラボでは生成が難しいニッチな需要を満たすためか、あるいは極めて厳格化された新ルールの下での限定的な再開となる可能性が高いと考えられます。
利用規約には、ルール見直しで予告なく素材を非公開にする可能性があるという条項も存在します。この条項を盾に、従来よりもはるかに厳しい審査基準が設けられる可能性も十分にあります。例えば、AIモデルの学習データの出所を証明する義務や、生成された画像が既存の著作物と類似していないことを保証する義務などが追加されるかもしれません。
したがって、2025年10月の停止は、事実上の戦略的終了と捉えるべきでしょう。外部AIによる投稿を主な収益源としていたクリエイターは、写真ACでの活動計画を根本から見直す必要があります。
AIクリエイターが取るべき戦略
AI生成素材の制作を主な活動としているクリエイターにとって、写真ACでの投稿停止は大きな転換点となりました。では、今後どのような戦略を取るべきでしょうか。
まず、複数のプラットフォームへの分散投稿が不可欠です。一つのサイトに依存するリスクが今回明確になりました。Adobe StockやPIXTAなど、依然としてオープン市場型を採用しているプラットフォームが、今後の主な活動の場となります。これらのサイトでは、AI生成素材の投稿が引き続き可能ですが、各サイトのAIガイドラインを徹底的に遵守することが求められます。
特に注意すべきは、既存のアーティスト名、キャラクター、実在の人物をプロンプトやキーワードで使用することの禁止です。これらの違反はアカウント停止に直結する致命的な問題となります。また、Adobe Stockが直面しているような低品質な類似画像の大量投稿も、今後はプラットフォームの規制強化によって通用しなくなるでしょう。量より質を重視する姿勢が、すべてのプラットフォームで求められています。
次に、独自性の高い作品づくりが重要になります。AIは誰でも使えるツールであるがゆえに、似たような画像が大量に生成されてしまいます。購入者が求めているのは、独自性があり、高品質で、実用的な素材です。単にAIにプロンプトを入力して生成するだけではなく、生成後の編集や加工、複数の画像の組み合わせなど、付加価値を加える工夫が必要です。
さらに、市場のニーズを的確に捉えることも大切です。季節のイベント、ビジネスシーン、ライフスタイルなど、需要が高いテーマを理解し、それに合わせた素材を制作することで、ダウンロード数を増やすことができます。市場調査を怠らず、トレンドを把握する努力が求められます。
従来型クリエイターにとっての新たなチャンス
一方、手描きイラストや実写写真を制作する従来型のクリエイターにとって、2025年の変更は新たなチャンスとなる可能性があります。
まず、写真ACにおけるAI素材の新規流入が停止したことで、AI以外の高品質な写真やイラストの需要が相対的に高まることが予想されます。検索結果での可視性が向上し、従来型の作品がより多くのユーザーの目に触れる機会が増えるでしょう。特に、AI生成では再現が難しい細かな表現や、オリジナリティの高い作品は、より高く評価される可能性があります。
さらに重要なのは、従来型の写真やイラストが、AC写真AIラボの学習データとして機能し、将来的にはポイント還元という第二の収益源を生み出す可能性がある点です。自分が投稿した素材が直接ダウンロードされることで得られる報酬に加えて、その素材がAIの学習データとして活用され、AIが生成した画像がダウンロードされることでも報酬を得られるという、二重の収益モデルが構築されつつあります。
従来型のクリエイターにとっては、品質の高い独自性のある作品を継続的に投稿し続けることが、長期的な収益の安定につながります。AIの燃料となる価値あるデータを提供することで、新しいエコシステムの中で重要な役割を果たすことができるのです。
2025年の変更が示すストックフォト業界の未来
写真ACの2025年の利用規約変更と戦略転換は、単に一企業の方針変更に留まらず、ストックフォト業界全体の未来を示唆しています。
2025年は、AI生成コンテンツにおける無法地帯の時代の終わりと、権利のクリーンさと品質をプラットフォームが保証するウォールドガーデンの時代の幕開けを象徴する年となりました。誰でも自由にAI生成素材を投稿できるオープンモデルは、法的リスクと品質低下という二重の問題を抱え、持続可能性に疑問符が付きました。
今後は、プラットフォーム自身がAI開発に関与し、学習データの権利をクリアにし、生成される素材の品質を管理するクローズドモデルが主流になる可能性があります。Shutterstockと写真ACが先駆けて実践しているこのモデルは、クリエイターにとっては活動の自由度が制限される一方で、法的安全性と収益の安定性が向上するという利点があります。
クリエイターは、自らがAIプロンプターなのか、それともAIの学習データ提供者なのか、その立ち位置を明確にし、各プラットフォームの戦略に合わせた戦術の再構築を迫られています。どちらの立場を選ぶにせよ、品質と独自性を追求し、市場のニーズに応える姿勢が求められます。
薬機法との関係について
写真ACで素材を制作・利用する際には、薬機法との関係にも注意が必要です。特に、健康食品、化粧品、医薬品などに関連する素材を扱う場合、薬機法に抵触しないよう十分な配慮が求められます。
例えば、健康食品の広告に使用する素材で、過度に健康効果を連想させるような表現や画像を使用すると、薬機法違反となる可能性があります。ビフォーアフターの写真や、特定の症状が改善したかのような印象を与える画像には特に注意が必要です。化粧品についても同様で、医薬品的な効能効果を暗示するような素材の使用は避けるべきです。
クリエイターとしては、自分が制作した素材がどのような用途で使用されるかを完全にコントロールすることはできませんが、明らかに薬機法に抵触しそうな表現や画像を避けることは可能です。特にAI生成素材の場合、意図しない表現が含まれる可能性もあるため、生成後の確認を丁寧に行うことが大切です。
また、素材を利用する側、つまり広告やウェブサイトで写真ACの素材を使用する事業者にとっても、薬機法遵守は必須です。素材自体は問題がなくても、キャッチコピーや説明文との組み合わせによって薬機法違反となるケースもあります。素材選びの際には、法的リスクを十分に理解した上で慎重に選択することが求められます。
まとめ:変化する市場環境への適応
写真ACのAI生成利用規約における2025年の最新変更点は、表面的には審査の複雑化に対応するための一時的措置と説明されていますが、その実態は写真ACの大きな戦略転換を示すものでした。外部AIによる投稿を事実上終了させ、自社開発のAC写真AIラボを中心とした新しいエコシステムへと移行するという明確な意図が読み取れます。
この変更は、クリエイターにとって活動方針の見直しを迫るものですが、同時に新たな機会も提供しています。AIプロンプターとしての活動を続けるクリエイターは、Adobe StockやPIXTAなど他のプラットフォームへの分散投稿と、各サイトのガイドライン遵守が必須となります。一方、従来型の写真家やイラストレーターにとっては、作品の価値が再評価され、学習データとしての新たな収益源が期待できる環境が整いつつあります。
2025年の変更は、ストックフォト業界全体が、権利のクリーンさと品質を重視する方向へと舵を切ったことを象徴しています。この大きな潮流の中で、クリエイターは自身の立ち位置を明確にし、変化する市場環境に柔軟に適応していくことが求められます。品質と独自性を追求し、法的リスクを理解し、複数のプラットフォームを活用することで、持続可能なクリエイター活動を実現できるでしょう。
写真ACの利用規約やAI投稿ポリシーは、今後も変更される可能性があります。最新の情報は、必ず写真ACの公式ウェブサイトやヘルプセンター、クリエイター向けのお知らせで直接確認することをお勧めします。変化を恐れず、常に最新の情報にアンテナを張り、柔軟に対応していくことが、これからのクリエイターに求められる姿勢です。

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